保育事業からスタートした農吉は、当初から、
子どもたちが「農」と触れあう機会を作りたいと考えていました。
「農」の中に、人が生きていくなかで大切なことや、必要な知識が、たくさん含まれているからです。
植物も動物も人も、自然のなかで互いに連関しながら生かされていること。
世界には、目には見えないけれど「働いている」ものがたくさんあること。
めぐる季節のなかで、経過してゆく「時間」があること。
種も、苗も、生長の過程では誰かの「手助け」が必要なこと。
子どもたちにできる「手助け」がたくさんあること。
自分たちが育てた野菜を、自分たちで収穫し、調理し、食べる。
そんなふうに、子どもたちのために始めた「農」の活動が、
地域で別の形の広がりを持つのに時間はかかりませんでした。
保育所の園庭にある小さな畑や、自分たちで管理できる大きさの田んぼでは、不足する給食の食材。
地域の野菜やお米を地域から分けていただく中で、たくさんの高品質な農産物が、
流通に乗らずに眠っていることを知りました。
これらの農産物を、大手に頼らず自分たちで流通させることで、
「作る人」と「食べる人」を直接つなぐことができるのではないか、と考えたのです。
しかも、地域にお金を循環させることができる。
自社農園の事業もスタートしました。
次の目標は、安全・安心な野菜を自ら育て、販売する「農」のスタイルを確立し、
地域に新規就農者や後継者が定着できるようにモデル化してゆくことです。
野菜も、人も、地域も、みんな同じ。
自然と時に逆らわず、手間と愛情をかけながら育んでいくこと。
ときには逆境も乗り越えなければなりません。
農吉は、「かけがえのない。もの。こと。」を大切にしています。