敷信みのり保育所・庄原保育所の大きな目標は、
「自立と自律」ができる子どもたちを育てていくことです。
そのために、子どもたちにとって「どうしても必要」だと思われる要素が、いくつかあります。
どれも、日常的なこと。
けれど、つい日常の中でおろそかにされてしまいがちなことです。
話を聞いてもらえること。
思いっきり遊べること。
ごはんがおいしいこと。
自分が大切な存在だと感じられること。
安心できる、心地よい状態でいられること。
一般的には保育士のことを「先生」と呼ぶことが多いのですが、
当所では「○○さん」と、さん付けで呼んでいます。
職員同士でも同様です。
結果として、大きな家庭のような関係作りが進んでいくように思います。
私たちが、大切だと感じている保育は、以下のようなものです。
自然農法や有機農法によって作られた、地元のお米や旬の野菜、質のよい調味料を使って給食を作っています。
また、彩りや香りを大切にし、五感を刺激するよう工夫しています。
自分たちで育てた野菜を、自分たちで調理する機会を作ります。
道具の正しい使い方を知り、自分たちで作る事で、食に関心を持つようになり、結果的に偏食を減らす役割を果たしています。
園庭に各クラスの畑を作り、年齢に応じた作物を育てます。
身近に畑があることで、植物の生長(命の育ち)を目の当たりにすることができます。
農作業には一人ひとりに役割があり、力を合わせる難しさ、育てる喜びを感じることができます。
土、水、植物の感触を味わい、土の中の生き物に興味を持つ。
仲間と協力しあいながら農作業を行う。
畑の作物を収穫し、新鮮な味を堪能する。
この乳幼児期の原体験が、「ふるさと」を感じ、いつくしむ心の基になる事を願っています。
思い切り身体を動かして遊ぶことや様々な運動を通して、自分の身体をコントロールする力を身につけます。
身体をコントロールする力は、心をコントロールする力にもつながります。
リズム遊びやマッサージを取り入れて体のバランスを整え、しなやかな心と体づくりを目指します。
園外へも積極的に出かけ、五感をフルに使って、全身で自然を感じとる活動を行います。
自然の中には知性や感性に役立つものがたくさんあります。
子どもたちを自然の中に解き放つと、どんどん遊びを広げていきます。
遊び道具がなくても遊びを作り出せる子ども、時間を忘れて一心不乱に遊べる子ども、友達と協力して遊べる子どもになってほしいと考えています。
思い切り遊ぶことは情緒の安定につながり、行動も落ち着いてきます。
食育・農育とも深く関係することですが、
私たちは、心身の土台となる「食」をとても大切なものと考えています。
毎日の給食で主食となる「米」は、農吉ファームで自ら育てているコシヒカリ。
野菜は、地元で採れる、極力農薬や化学肥料を使わない旬のもの。
「一物全体食」を基本に、米は3~7分づき、野菜は皮まで丸ごと使うようにしています。
子どもたちは、味覚を形成する大切な時期。
野菜本来の味を引き出せるよう配慮します。
調味料も、昔ながらの製法でゆっくり熟成させたもの、添加物を使っていないものを使います。
だしは、鰹・昆布・いりこで毎日とり、今日の給食の香りを感じます。
献立は、家庭で不足しがちな「野菜」をしっかり食べられるように組み立てています。
乳児組では、咀嚼(そしゃく)やスプーンの使い方など、身体の機能を発達させながら、集中力を維持して食べられるように。幼児組では、「身土不二(しんどふじ)」、日本の季節や文化を伝えられるように。
保育と連携した献立にすることはもちろん、子どもの発達に合わせて食材の切り方を工夫し、食器・食具で、給食を楽しい時間にすることを心がけています。
保育所時代の思い出をしっかり作りたいと、アルバム作りをしています。
アルバムは毎月5枚、日常のスナップ写真を選択し、半年ごとにコメントをつけてお渡ししています。
家庭では見せない顔や遊びの中の生き生きした表情など、普段はなかなか撮れない写真を綴じこんでいます。
2冊のアルバムは、1年の成長を伝えてくれる、宝物になります。
また、生まれてこれまでに、子どもたちはいろいろな服を着ています。
その一つ一つに思い出があります。
そのうちの一つを、卒園の前に持って来てもらって、それでお人形を作ります。
それを見ながら家族の人と話をしたり、卒園後につまづくことがあっても優しい気持ちになったりしてもらえたら嬉しいです。
保育所に、臨床心理士がいるケースはまだ珍しいかも知れません。
でも、今はとても必要なことと思っています。
子どもも大人も、心の中にもやもやを抱えることが多くなりました。
そのもやもやが、少しでもなくなれば、と考えています。