庄原保育所
子どもたちは一人ひとり違った個性をもっています。
年齢、男女、容姿、国籍・・・。価値観もそれぞれ違います。
“違うことはあたりまえ”を、
この乳幼児期から経験することがとても重要だと考えています。
“みんな違う”を大切にした保育を通し、
子どもはもちろんですが、保護者も保育士もみんなが幸せを感じる、
そんな温かい保育所を目指していきたいと思います。
庄原保育所 所長 小田 和彦
[保育担当制]
乳児期に築く、親や周囲の大人との関係は、子どもたちのその後の成長に大きく影響します。
昨今、気になるのが、親や周囲の大人から充分に「受容」されていないのではないかと
思われる子どもたちが増えていることです。
生まれてまもない乳児期に、特定の大人(第一には「親」ですが、
それが困難な環境の子どもたちもいます)から、
しっかりと「受容」してもらう経験をした子どもたちは、その後「自立と自律」を身に着けやすくなります。
逆に乳児期にその経験が不足すると、自分に自信が持ちにくくなり、
成長の過程で困難が生じるケースが見られます。
そのため、庄原保育所では、0歳~2歳の乳児クラスで「保育担当制」を導入しています。
これは担当保育士が、「保育所でのお母さん」として、一貫して子どもの保育を行うことです。
ごはんを食べさせる、おむつを替える、トイレに連れて行くなど、
基本的にはすべて同じ担当保育士が行います。
子どもたちは「保育所のお母さん」と深い信頼関係を感じる中で安心感に包まれ、情緒が安定し、落ち着いて物事に集中できるようになることが分かってきています。
[異年齢保育]
3歳~5歳の幼児クラスでは、異年齢保育を行っています。
具体的には、年齢別のクラス(3歳=ちいな、4歳=さなえ、5歳=いなほ)とは別に、
縦割りのクラスを設けています。
日常的なほとんどの活動は、この縦割りのクラスで行います。
年齢に相応の活動をしたい場合(例えば、いなほ組だけで長距離を歩いて散歩に行きたい時)
などには、年齢別クラスで対応します。
30年ほど前まで、子どもたちが「近所の」年齢の近い子どもたちと遊ぶことは、
日本中でごく当たり前に見られていた光景でした。
その中では、年長の子どもがリーダーになったり、年少の子どもの憧れの対象になったり、
年少の子どもたちの面倒を見たりすることも、ごく当たり前でした。
ところが、都市化やテレビ・ゲーム等の普及により、異年齢の子どもたちが一緒に遊ぶこと、
その中でけんかをしたり、共同で何かをしたり、学び合ったりする機会が失われてきました。
私たちは、保育所の日常のなかで、このような子どもたちの関係性を実現しようとしています。
成長の過程で、「できることの範囲」が他の子たちより狭い、
あるいは「できるようになるまで」に時間がかかる。
そういった子どもは以前からいましたが、ここ数年、
その傾向はより顕著になってきているように思います。
庄原保育所では、生活の中で「この子は、他の子たちよりも多くの手助けが必要だ」と思えば、
通常と異なるプログラムで保育をすることがあります。
また、そのために別室も用意しています。
私たちは、このような、いわゆる「発達障害」の子どもたちに対する取り組みが先進的だということで、
広島県内をはじめ様々なところから、視察等をお受けすることがあります。
ですが、私たちはあくまでも、「一人ひとりを尊重する」過程で必要だと考えることをしているだけで、
特別な子どもに特別なことをする必要がある、と考えているわけではありません。
どんな子にも、得意・不得意があります。
得意なところは伸ばしてあげたい。
不得意なところは、成長の過程で「つまづき」にならないように、
今どんな手助けをしてあげれば良いかな?と考える。
スタッフ全員が日々、そんな思いで子どもたちに接しています。
©株式会社敷信村農吉 2019 All Rights Reserved.